コラム

寺院DXって実際どういうこと?住職目線で解説します

「DXはデジタル化することが目的ではない」住職であり開発者でもある筆者が、お寺のDXの本質を実体験をもとに解説します。

「寺院DX」という言葉をよく聞くようになりました。でも、具体的に何をすることなのか、いまいちピンとこないという方も多いのではないでしょうか。

私はお寺の住職であり、寺院管理システム「てらっと」の開発者でもあります。その立場から、DXの本質を正直にお伝えしたいと思います。

DXとは「全部デジタルにすること」ではない

まず大前提として、DXはすべてを紙からデジタルに置き換えることがゴールではありません

業務を可視化すること。普段どのような業務を、誰が、どこで、どのように行っているかを整理すること。その上で「ここは重複している」「ここはシステムに任せた方がいい」「ここは今まで通りでいい」と判断していくプロセス、それがDXです。

デジタル化は手段であって、目的ではありません。

お寺の本来の仕事を忘れないために

お寺の仕事の本質は何でしょうか。私は「門徒さんの法務を支え、つながり、聞法の場を続けていくこと」だと考えています。

DXはその本来の仕事に集中するための手段です。事務作業や情報管理に追われる時間を減らし、門徒さんと向き合う時間を増やすためにある。その視点を忘れなければ、DXに振り回されることはないと思います。

「温かみ」とDXは矛盾しない

「紙の方が温かみがある」という意見もよく耳にします。私もその感覚は大切にしたいと思っています。

ただし考えてみてください。手書きのお手紙を送るためにも、誰が今年の年回忌にあたるかを正確に把握し、住所を間違えずに宛名を書く必要があります。その土台となる情報管理を正確に行うためにこそ、DXが役立つ場面があります。

普段はアプリでスピーディにやりとりするけれど、大切な法要のご案内は手書きのお手紙で届ける。そういう使い分けを意識的に選べること、それがDXを活用した上でこそできることだと思います。

「苦手だから」は理由にならない

包み隠さず言います。「紙の方が温かみがある」と言いながら、実際には「自分がデジタルツールが苦手」という本音が隠れているケースも少なくないと感じています。

法話を話すとき、大人に向けた話と子どもに向けた話が同じでいいはずがありません。聞き手に合わせて内容を変える、伝わるように工夫する、それは住職として当然の努め方です。

それと同じで、連絡手段もまた、門徒さんに合わせていくべきではないでしょうか。今の中高年の方々は、孫や子どもとのLINEグループを使いこなしています。そんな時代に、お寺からの連絡が電話だけというのは、少し不便に感じられてしまうかもしれません。

まずは「業務の見える化」から

DXの第一歩は、大きなシステムを導入することではありません。今のお寺の業務を書き出してみること。それだけで「ここは重複している」「ここは毎回同じ作業をしている」という気づきが生まれます。

お寺の階段の掃除と同じです。参拝しやすいインフラを整えること。デジタルインフラのお掃除も、私たちお寺を預かるものの大切な仕事のひとつだと考えています。


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