寺院の過去帳、まだ紙?クラウド管理で変わる3つのこと
紙やExcelで過去帳と住所録を管理すると、更新漏れや情報の分断が起こりがちです。住職自身が直面した引き継ぎの壁と、クラウドで一か所に管理することで変わる3つのことを、実際の画面とともに紹介します。

私のお寺では、長い間、紙の過去帳と住所録を別々に管理していました。
たとえば、家の当主や住所が変わったときは、過去帳と住所録の両方を更新しなければなりません。片方だけを直すと、過去帳に書かれた当主と、住所録の宛先が一致しなくなります。
どちらが新しい情報なのか。そのたびに、別の台帳や昔の記録を見比べて確かめる必要がありました。
紙からExcelへ替えても、情報の分断は残った
私自身、父の病気をきっかけに突然お寺を引き継ぎました。記録は残っていても、どれが最新なのか、書かれている内容が今も正しいのかを父に確認できません。結局、一件ずつ門徒さんへ電話をかけ、住所やご家族の情報を確かめ直しました。
そこで紙の記録をExcelへ移しました。検索や並べ替えはしやすくなりましたが、過去帳と住所録が別ファイルであることは変わりません。一方だけ更新すれば、やはり情報は食い違います。
その後、Accessのリレーションを使い、家の情報と故人の情報をつなげて管理しました。このとき、問題は「紙かデジタルか」ではなく、必要な情報を一か所で管理できるかどうかなのだと気づきました。
過去帳のクラウド管理で変わる3つのこと
てらっとでは、家の情報と故人の情報をつなげ、スマホやPCから確認できるようにしています。
ここからは、クラウドで一か所に管理することで、日々の確認や引き継ぎがどう変わるのかを3つに分けて紹介します。
1. 外出先でも、家名から必要な情報を探せる
家名簿で検索すると、住所や電話番号に加えて、その家に登録された故人へ同じ画面からたどり着けます。
お寺に戻って複数の台帳を開かなくても、権限を持つ人が外出先から家名で検索し、その家に関わる情報へたどり着けます。
年回忌の日程を即答することだけが目的ではありません。訪問前に住所を確かめるときも、電話を受けて家の情報を確認するときも、同じ入口から探せることが大切です。
2. 家と故人を、別々の記録ではなく「つながり」として管理できる
紙やExcelでは、住所録にある家の情報と、過去帳に記された故人が別々の記録になりがちです。

一つの家に、複数の故人情報と月参り・法要設定が紐づいています。
一覧では、戒名や命日のほか、喪主、続柄、月参り設定なども確認できます。
家の情報と故人の情報が同じつながりの中にあれば、住所変更のたびに別ファイルを探したり、同じ内容を何度も転記したりする場面を減らせます。
3. 引き継ぐ人も、同じ最新情報へたどり着ける
紙の置き場所や、特定のパソコンに保存されたファイル、前任者だけが知っている更新手順。こうした管理は、担当する人が変わったときに情報の断絶を生みます。
一か所で管理していれば、権限を持つ人が同じ情報を確認できます。誰か一人の記憶や口頭の説明だけに頼らず、残された記録を手がかりに業務を引き継げます。
もちろん、クラウドに移しただけで、すべての情報が自動的に正しくなるわけではありません。大切なのは、更新する場所を一つにし、次に引き継ぐ人も同じ最新情報へたどり着ける状態を保つことです。
クラウド化は、過去帳を軽く扱うことではない
過去帳には、一つひとつの家と故人、ご家族とのご縁が記されています。クラウド化は、その重みを軽くするためのものではありません。
必要なときに正しい情報へたどり着き、大切な記録を次の世代へ引き継ぐ。そのための土台を、今の寺務に合った形で整えることだと考えています。
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