コラム

20歳でお寺を継いだ私が、寺院管理システムを作った理由

父の突然の病気で20歳からお寺を引き継ぎ、情報の断絶・データの混乱と向き合い続けた住職が、なぜ寺院管理アプリを開発するに至ったか。その経緯をすべて話します。

私が20歳のとき、父が脳の病気になりました。

突然のことでした。それまで父が担っていたお寺の業務を、何もわからないまま引き継ぐことになりました。

引き継いだのは「わからないデータ」だった

父はITに精通していたため、データはある程度デジタル化されていました。しかし、それは「自分がわかればいい」という作りになっていました。脳の病気になった父から説明を受けることもできず、私に残されたのは、ファイルの開き方もわからない、どれが最新かもわからない、正しいかどうかも確かめようのないデータでした。

一元化もされておらず、バージョン管理もない。どこに何があるかも把握できない状態からのスタートでした。

一件一件、門徒さんに確認するところから

まず、すべてのデータを集約し、最新バージョンを特定する作業から始めました。しかしデータが正しいかどうかは確認するすべがなく、結局、一件一件、門徒さんに直接電話して確認をとっていきました。

情報の断絶とはこういうことだと、身をもって知りました。

Excelで整理、Accessでリレーション管理へ

データを整理し始めると、次の問題が見えてきました。Excelで管理しようとすると、過去帳と住所録が別ファイルになり、片方を更新したらもう片方も更新しなければならない。更新漏れが起きると整合性が崩れます。

そこでAccessのリレーショナルデータベースを独学で学び、テーブルを紐づけて一元管理できる仕組みを作りました。これで「一つ変えれば全部に反映される」状態になりました。

「外でも見たい」ニーズがクラウド化を促した

しかし月参りや法要の現場では、パソコンは持ち歩けません。住所を調べたい、その家の過去帳を確認したいという場面が増えてきました。

Googleカレンダーにデータを書き出して連携させ、LINEで門徒さんと連絡をとるようにしました。しかしそれらはバラバラで、LINEで連絡してきた方が台帳のどの家なのか結びつかない。カレンダーと台帳のデータが食い違うこともある。すべてが繋がっていませんでした。

最終的にアプリ化、そして商用化へ

課題を解決するためにアプリ化しました。ひとつのシステムの中に、名簿・過去帳・カレンダー・メッセージが統合されてはじめて、情報の断絶がなくなる。それを実感しました。

ただ、自分のお寺のためだけに開発・維持するコストは決して小さくありません。そこで気づきました。同じ課題を抱えているお寺は、全国にたくさんあるはずだと。

若くしてお寺を継いだ住職。引き継ぎの不安を抱えながら一人で業務を回している住職。私がそうだったように、誰にも聞けない場面で途方に暮れた経験のある人に、このシステムが手助けになれれば。そう思い、てらっとを商用化するに至りました。


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